「仮説」とは「問い(リサーチクエスチョン)」への仮の答えです。これからの探究を進める出発点になります。
 仮説は、事実の観察の中から浮かび上がってくるときと、文献調査をするなかで浮かび上がってくるときがあります。ドイツの地球物理学者A. L. ウェゲナーは、「大西洋を挟んで向かい合う南北アメリカ大陸とヨーロッパ・アフリカ大陸の海岸線の凹凸が一致しているように見える」という事実の観察から大陸移動説の仮説を生成したそうです。ただし、文献を読むなかで問いと仮説を思いつくことも少なくありません。というか、問いと仮説を思いつくように文献を読むことが大切なのです。
 「仮説」が「問い(リサーチクエスチョン)」への仮の答えであるのに対し、「主張」は「問い」へのより確かな答えです。「仮説」のうち、根拠(事実・データと論拠・理由づけ)や対立する主張への反駁を通じて正当化されたものが、「主張」となります。「仮説」から「主張」へのプロセスは、一方向的に進むわけではありません。実際は、途中で混乱したり、ときには、調べているうちに「対立する主張・異なる主張」の方が説得力があるように見えてくることもあります。それもまた探究の醍醐味です。