三角ロジック
対話型論証モデルの左側のヨコ軸の部分は、「三角ロジック」と呼ばれてきました。対話型論証では、それを下図のように表現しています。
「論拠」というのは英語ではwarrantですが、ちょっとわかりにくい言葉なので、ここでは「論拠・理由づけ」と呼んでいます。
同じ事実・データでも論拠・理由づけが異なるとまったく異なる主張が導かれることがあります。たとえば、ある中学1年の国語教科書(『現代の国語Ⅰ』三省堂)には、こんな例が出てきます。「玄関のドアは日本では外に開くのに対し、欧米では内側に開く」という事実について、「『いらっしゃいませ』というように開くから」という理由づけをすれば、「欧米は、外来者を客として受け入れる文化だ」という主張になるのに対して、「外部からの侵入を防ぎやすいから」という理由づけをすれば、「欧米は、外来者を敵として拒む文化だ」という主張になる、と。
こうした、「主張」と「事実」と「理由づけ」の3つを区別し、この3点を意識して考える方法を「三角ロジック」といいます。見方を変えると、主張は、「事実・データ」と「論拠・理由づけ」という2種類の根拠に支えられているということができます。