スマートフォンのロック解除はすべきか?
ここでは、現代の情報化社会を生きる私たちに欠かせないスマートフォンをめぐる課題を取り上げます。どのようなことが議論の争点になっているのかに着目し、対話型論証モデルを用いて考えていきましょう。
ロック解除ソフトの開発要請に関する問い
2015年12月、アメリカ・カリフォルニア州で銃乱射事件が起こり、30人以上が死傷しました。FBI(米国の連邦捜査局。以下、警察という)は容疑者のスマートフォンであるiPhoneを押収しましたが、容疑者は亡くなっており、パスワードが分かりません。また、そのスマートフォンは、間違ったパスワードを10 回入力するとデータがすべて消去されるように設定されていました。
警察は、スマートフォンを調べて事件の背景を知るため、スマートフォンの製造会社であるAppleにロックを解除できる特別なソフトをつくるよう要請しました。
まずは、この事件をめぐる企業の対応について考えましょう。
(1)あなたが、Apple の社長なら、警察の要請を引き受けますか?
(2)その理由を書いてください。
スマホのロック解除をめぐる対話型論証
以下では、「今後、同様の事態が起こった時、場合によってはこういったソフトの開発を引き受けるべきか?」というリサーチクエスチョンを立てたとして進めていきます。
この問題を考えるにあたって、詳しい情報が書かれている資料を収集していると、3つの資料が見つかりました(資料は本書第8章第2節を参照してください)。
(1)3つの資料の情報をふまえてあなたの立場を決め、自分が支持する立場と、それとは対立する立場の三角ロジックを完成してください。その際、事実・データは2 つ以上あげることします。
(2)右側の三角ロジックの問題点を「反駁」の中に記入してください。
(3)最後に、2 つの三角ロジックを見比べて結論・提言を記入しましょう。
対話型論証モデルができたら、この問題のポイント(本書に記載)を読んでください。
この問題の対話型論証モデルは次からダウンロードできます。