ミスコン廃止をどのように考えるか?
ここでは、ミスコン廃止をめぐる課題を取り上げ、現代におけるコンテストやジェンダーの問題について対話型論証モデルを用いて整理することにしましょう。
ミスコン廃止に関する問い
近年、学園祭の華といわれたミスコンテスト(以下、ミスコンという)を廃止・変更する大学が増えています。その背景や新たなコンテストを実施した大学生たちの思い、それに対する批判を複数の資料から読み解き、現代におけるコンテストのあり方やジェンダーをめぐる問題について探究していきましょう。
かつて、大学のミスコンは才色兼備の学生を選ぶイベントとして人気を博し、芸能界やアナウンサーへの登竜門にもなっていました。一方、近年は、性差別や外見差別を助長するという批判があり、ミスコンを廃止したり変更したりする大学が出てきました。
(1)このような中で、あなたは「ミスコンは廃止すべきだ」あるいは「ミスコンがあってもよい」のどちらの立場でしょうか。
(2)その理由を書いてください。
ミスコン廃止をめぐる対話型論証
次に、ミスコン廃止の現状について情報を収集し、整理していきましょう。
(1)調べてみると、ミスコンを廃止して新たなコンテストを開催した上智大学の学生組織・ソフィアンズコンテスト実行委員の取り組みに関する記事(資料A)が見つかりました(資料Aは本書第8章第5節を参照してください)。この記事から、「ミスコンを廃止する代わりにどのようなコンテストを実施すればよいだろうか?」というリサーチクエスチョンを大学生が持っていたことがわかります。それでは、資料Aを読んで、ソフィアンズコンテスト実行委員の立場に立って、新しいコンテストの実施を企画した根拠(事実・データと理由づけ)を対話型論証モデル(図8.5.1)にまとめてください。
(2)さらに調べると、ジェンダー論の専門家が書いた記事(資料B)が見つかりました(本書参照)。高橋(2020)は、「ジェンダー論の観点からソフィアンズコンテストはどのように評価されるか?」という問いを設定した上で、上智大学の学生によるコンテスト改革に対して、2 つの懸念が残ると述べています。高橋(2020)が主張する2 つの懸念とその根拠(事実・データと論拠・理由づけ)を対話型論証モデル(図8.5.1)の右側にまとめてください。
(3)ソフィアンズコンテストが新設された経緯も、それに対立する主張も浮かび上がってきました。さらに、詳しい情報を得るために、ソフィアンズコンテストの実行委員である荒尾さんに直接インタビューすることで、さらなる情報を得ようと考えました。
聴きたい内容を整理したインタビューガイド、実際にインタビューから得られたデータの一部は、本書で紹介しています(登録者用はダウンロードで全文を読めます)。
このインタビューでは、「よりよい形にしてコンテストを続けたい」という荒尾さんの熱い想いが語られています。一方で、「大学という場で人を順位づけするようなコンテストを実施することが本当に正しいのか」という荒尾さんの葛藤も知ることができました。
(4)それらをふまえて、「大学ではミスコンの代わりにどのようなコンテストを実施すればよいだろうか?」というリサーチクエスチョンについて、これまでに収集した資料A、資料B、インタビューデータをもとにして、自分の主張と、それとは異なる主張の、両方の三角ロジックを記入してください(図8.5.2を使用)。その際、「大学では人を順位づけするようなコンテストはやめるべきなのだろうか?」というリサーチクエスチョンについて考えても構いません。
(5)右側の三角ロジックの問題点を「反駁」の中に記入してください。
(6)最後に、すべての情報・分析を踏まえて結論・提言を記入しましょう。
対話型論証モデルができたら、この問題のポイント(本書に記載)を読んでください。
この問題の対話型論証モデルは次からダウンロードできます。