課題・問いを設定する

 探究を進めていく上で、問題(課題・問い)の設定はとても重要です。ここでは、課題を見つけるポイントについて解説し、問いを立てる力をつけるワークの例を紹介します。
(「問題」―「課題」―「問い」の概念、各図の詳しい説明、ワークの詳細は本書第2章第2節を参照してください)

課題を見つけるポイント

 課題は、日常生活や社会に目を向けた時に湧き上がってくる疑問や関心に基づいて見つけるものですが、簡単に見つかるわけではありません。そこで、参考にしてほしいのは、次の図です。

■ 課題を見つけるポイント

 問題意識は、実生活や実社会を見つめる中で感じる現実と理想とのギャップ(ずれ・隔たり)から生まれます。ぜひ自分ごととして主体的に取り組める課題を見つけてください。

課題を見つけ、問いを練る

 「課題」を見つけたら、探究(研究)における「問い」を立てましょう。
「問い」を作るポイントは次の2つです。

  1. 問いの観点を変える
  2. 問いの規模を変える


「問いの観点を変える」というのは、問いの視点を変える、あるいは、多角的に問い直すと言い換えられます(下の図参照)。その時、疑問詞5W1Hを変えてみてください。とくに、①Why?(なぜ?)、②If~(もし~だったら?)③How?(どうすれば?)を使って問い直すことで、問いによいバリエーションができます。

■ 問いの観点を変える

 「問いの規模を変える」というのは、問いの広さを変える、あるいは、問いに対応する答えの自由度の幅を変えると言い換えられます。探究の問いは、狭すぎても広すぎてもいけません。そこで、①主語を変えたり限定したりする、②修飾語を変える、ことにより適切な規模にすることが大切です。

■ 問いづくりのポイント

問い立てワーク(例)

【ワーク1】身の回り製品・サービスから課題を見つける
 普段の生活で使っている身の回りの製品・サービスについて、上記を意識しながら、課題を見つけ、問いを練る練習をしましょう。

① 身の回りの製品・サービスの中で疑問・不満に思っていること、違和感を抱いていること、感動したことを取りあげる。
② ①を問いの形で表現する。
③ ②の問いの観点や規模を変え、さまざまな問いを立てる。
④ 班のメンバーが作った問いからよい問いを1つ選び、さらに練ってよりよい問いに書き換える。

【ワーク2】写真・図表から課題を見つける
 写真や図表といった資料は、生活や社会に起きている現象や状況を視覚的につかめる素材です。それを使って、課題を見つけ、問いを練る練習をしましょう。

① (A)~(C)の写真・図表(本書第2章第2節参照)の中から、班で1つの写真を選ぶ
② 個人で3分間、できるだけたくさん問いをつくる
③ 班で出てきた問いを共有する
④ よい問いを1つ選び、さらに観点や規模を変え、よりよい問いにする

【ワーク3】新聞から課題を見つける
 時事問題が凝縮されている新聞を使って「問い」を立てる練習しましょう。さらに、「課題の設定」と「情報の収集」を往還しながら仮説を検証していく、よりよい「問い」に練り上げるという過程を学びましょう。

① 新聞記事に、できるだけたくさんの「問い」を立て、付箋に書いて貼る
② ①のうち最も関心がある「問い」に対して「仮説」を立てる
③ ②に関する「事実・データ」を収集する(まずは新聞記事の中から。次に、インターネットで調べてさらに情報を収集)
④ 収集した「事実・データ」を分析して、仮説を検証する。
⑤ そもそも「問い」が適切だったかを検討し、よりよい「問い」に更新する。

■ 記入用対話型論証モデル